虫歯のステージ
2024年6月30日
今回は虫歯の分類と、それに付随する治療法をお伝えします。歯科治療において虫歯治療は基本となります。虫歯が深いってどういうことだろう?と、思っている方も多いと思います。今回は虫歯治療を簡単にご紹介させていただきます。
虫歯は大きく分けて5つのステージに別れます。
C0 初期のエナメル質窩洞内う蝕
C1 エナメル窩洞内う蝕
C2 象牙質齲蝕
C3 歯髄に達しているう蝕
C4 歯質過少により歯牙保存が不可能と診断された歯
C0 ~ C1について
エナメル窩洞内のう蝕に関しては、口腔内清掃状態が良い場合は経過観察を行うケースも多いです。
多くの場合が虫歯を除去後に歯科材料を充填するため、ある程度の大きさまで歯を削らなければならないので、虫歯の進行スピードや清掃状態を考慮して治療を行うかを考えています。
もし、治療が必要となった場合でも歯がたくさん残っているケースが多く、コンポジットレジン修復で十分に処置可能であることがほとんどです。コンポジットレジン修復の利点は保険適応であることと、即日に治療が終了するため患者様の負担も少ない治療であることです。
C1 ~ C2について
C2まで進行すると、甘味痛、咬合痛、冷水痛などの不快症状が確認できることがあります。
しかし、無症状で虫歯が進行する場合もあります。虫歯箇所に水や食べ物が侵入しづらい場合は知らないうちに虫歯が進行することもあるためです。
処置が必要になった場合は、コンポジットレジン修復、または歯冠修復(被せもの)で対応します。歯冠修復は一度型取りを行い、装着と調整を行わなければいけませんが、しっかりとした歯冠形態が復元されるため将来的な虫歯や歯周病のリスクを低減することができます。
セラミック素材のものは口腔内の環境に配慮した装着を行うことで虫歯のリスクを更に低減することが可能です。
C3について
歯髄まで虫歯が到達してしまっている場合、何かしらの歯髄への処置が必要となります。歯髄の病気の進行は、
1. 可逆性歯髄炎・・・歯髄は炎症反応を示すが適切な処置で正常歯髄に移行できる
2. 不可逆性歯髄炎・・歯髄の炎症反応は正常歯髄まで回復が見込めない
3. 歯髄壊死・・・・・歯髄に血流はなく、ほとんどもしくは全ての歯髄が壊死している状態
の3段階があり、冷水痛、温熱痛、電気診、触診で診査をする必要があります。また、不可逆性歯髄炎から歯髄壊死に移行する時が最も痛みを生じます。
歯髄壊死
歯髄壊死は歯髄に血流がなく、ほぼ全ての歯髄が細菌感染により壊死し、根尖性歯周炎という炎症が根尖まで波及してしまっている状態です。この場合、適切な根管治療を行うことが必要となります。根管治療を行っても治癒に至らない症例に関しては歯根端切除術が必要になります。
C4について
歯冠が崩壊した虫歯とは、進行性の虫歯が最終段階に達している状態を指します。
このステージでは、神経などを含む歯髄が完全に破壊されているため、痛みの感覚がほとんどないか、完全に失われてしまっていることが一般的です。
歯冠の大部分が損傷し、見残されるのは歯根のみという「残根状態」となっており、このような状態の歯は機能的にも審美的にも回復が難しいといえます。
そのため、適切な治療法としては抜歯が選択されることが多く、その後の補綴治療により咬合機能の回復が図られます。
痛みがなくなったからと放置せず、適切な歯科治療を受けることが重要です。
虫歯の治療方法はその進行度に応じてさまざまです。
初期の虫歯(C1やC2段階)では、除去した部分に詰め物をすることが一般的ですが、歯の損傷が大きい場合は、被せ物を用いて歯の形状を復元します。
もし虫歯が歯の神経まで達している(C3段階)場合は、根管治療が必要となり、神経を取り除き、その空間を清掃した後に詰め物で封鎖します。
大規模な損傷や失われた歯には、インプラントやブリッジによる治療が考えられ、元の咬合力や見た目を再現することもあります。
虫歯は取って詰めるだけではありません。
虫歯の進行状況によっては神経の治療が必要になり、治療回数が増え、時間がかかります。
いずれの治療も早期発見が鍵となりますので定期的な歯科検診がおすすめです☆